健康づくりのために必要な運動としてエアロビクスが推奨され、高齢者においても歩行がすすめられてきました。しかし、長い人生において自立した生活を維持するためには、筋力、柔軟性も必要であり、さらに転倒予防のためのバランス能も必要になります。そこで推奨されているのが、これらの機能を向上させるための「ウエルビクス運動」です。本書は、高齢者の自立支援が必要とされるなかで、適切な運動の指導と実践を目指して「ウエルビクス」運動のあり方を紹介しています。高齢者は、体力や健康度の個人差が大きいため単一の運動ですべての人をカバーすることはできません。本書では、虚弱な高齢者から元気な高齢者等にいたるまで、幅広い対象者に対して顕著な効果が期待できる方法が紹介されています。また、高齢者の心身に対する運動による効果や、地域での健康づくりを進めるうえで有効とされる地域型運動の理論と実際についても章立てでご紹介しています。
■仕様
判型:B5判/128ページ
著者:竹島伸生、竹田 正樹、加藤 尊、鈴木 重行、松尾 真吾、侘美 靖、侘美 俊輔、岡田 壮市、小泉 大亮、藤田 英二、加藤 芳司、渡辺 英児、北林 由紀子
★岡本正一さんオススメコメント★
この本は、まず文章や使われている用語がわかりやすく、図や表の解説が適宜挿入され、図や表の読み方、結果の解析とそこから導かれた結論が簡潔に記載されています。「筋力」や「柔軟性」といった、わかっているようできちんと説明するとなるとちょっと戸惑ってしまうような用語の定義もわかりやすく説明さています。また、三浦雄一郎氏の身体能力の検査結果なども紹介されていて、具体的で臨場感のある結果の考察が理解しやすいと感じました。第3章~6章の「各運動の理論と実際」ではわかりやすい理論と、実際に運動内容を構成する時に参考となるような実例も紹介されています。第7章では運動を始める動機づけや継続のための運動内容の設定なども解説され、第8章~9章では、各地域での導入方法のヒントになる“対象者の分類”が役立つと感じました。目次から、本文の知りたい情報を見つけるための索引も簡単で分かりやすい表記でありがたいとも感じました。